隠崎隆一氏の下でその陶技を学び、40歳を過ぎた2015年に独立築窯した市川透さん。強い思いを持って臨む事で、見えないものを見えるようにすること。素材や技術を超越した精神による表現の具象化。そのようなテーマをもとに、土の潜在的な生命力を引き出し、独自の世界観へと昇華されています。鮮烈な赤い雫が印象的な「葉隠」シリーズは、武士道の美学を陶を通じて表現した作品です。また「不退」という言葉も、彼の作品志向の大きな礎になっているようです。常に前を向き努力を惜しまないことで育まれた、類稀な造形力と洗練された感性による作品。次代の陶芸界を切り拓く先駆者として、今後のさらなる飛躍が楽しみな作家です。